肌のハリとは
1)お肌のハリって?
お肌に関する言葉は、たくさんありますが、中でもよく使われるのが「ハリのあるお肌」。
また、ハリとツヤは、セットで使われることがあります。
このハリやツヤのあるお肌とは、どんなお肌でしょうか?
①ハリのあるお肌とは?
ハリがなくなると、
- ほうれい線が目立ち始める
- 目元や首に小じわが目立ち始める
- フェイスラインがすっきりしない
などが起こります。
では、逆にハリのあるお肌とはどんなお肌でしょうか。
お肌が自然にリフトアップされ、重力に負けないで「ピーン」と張った状態のお肌、
見た目も弾力に富んで、顔のたるみのないお肌が「ハリのあるお肌」です。
そんな肌のハリは、引っ張ったときの強度と押したときの戻りで、ある程度感触がつかめます。
一度、自分でお肌を押してみて今の「ハリの状態」をつかんでみてください。
自宅では数値として測定することはできませんが、何となくハリのある、なしの感覚はつかめますね。
そんなお肌のハリは、真皮と深い関係があり、皮下組織や表情筋も影響を与えているのです。
②お肌のツヤとハリの関係は?
一方、「お肌のツヤ」は、お肌の透明感や明るさ、
整った肌理(キメ)によるお肌の細かさと光の反射によってもたらされます。
だから、主に表皮の肌状態が影響を与えます。
肌質も関係しますが、ターンオーバーとバリア機能が正常であれば
ツヤのあるお肌を手に入れることができるのです。
ここで大切なことは、いくらお肌にハリがあっても、
表皮の状態が悪くツヤがなければ、お肌はハリがあるように見えないことです。
逆にツヤもお肌の土台である真皮が老化して衰えれば、なくなっていくのです。
だから、ハリとツヤは一緒に語られることが多いのです。
このように、ハリのあるお肌を目指すには、
同時にツヤのことも考える必要があるのです。
つまり、スキンケアやエイジングケアは、基礎化粧品でカバーが可能な表皮だけでなく、
真皮も意識することが大切なのです。
③失ったハリを取り戻すのは、大変
10代や20代では当たり前にようにハリがあったので気にしない方も多いでしょう。
しかし、30代、40代、50代と年代を重ねれば、誰でも肌のハリは減ってしまいます。
さて、肌のハリについて、気を付けて頂きたいポイントを先にお伝えします。
ハリは、真皮が深く関わっているとお話しましたが、
真皮が生まれ変わる期間は、3年とも5年とも言われています。
だから、一旦、ハリが失われると取り戻すのに時間がかかります。
また、その間にもエイジングが進み、お肌の老化も進みます。
だから、お肌のハリは、十分にキープできている間から、
予防的なケアをすることが大切なのです。
一方、ツヤは表皮の影響が大きいので、
ハリに比べると復活しやすいのです。
表皮の細胞の新陳代謝は早く、20代であれば28日
それ以降だんだん長くなりますが、それでも2~3か月です。
これが、ターンオーバーです。
「ハリがあるお肌」なのに、ツヤがないためハリもなさそうに見える場合、
表皮の角質層をしっかりケアすればハリが戻ったように実感することがあります。
この場合は、本当にハリが失われているわけではないのです。
しかし、肌のたるみでハリがなくなっているなら、
エイジングケア化粧品を使っても、ハリを取り戻すことは難しいのです。
つまり、お肌の弾力やハリはなくなってしまえば、
元に戻すことが難しいので、若い時代からの予防がとても大切なのです。
2)お肌にハリをもたらす要素は?
お肌のハリの源は、「弾力」ですから何が弾力をもたらしているかを考えることが
お肌にハリをもたらす要素を考えることです。
目に見えているのは、お肌の表皮の角質層ですが、たったの0.02mm。
また、表皮すべてでも0.2mmです。
表皮は、ハリをもたらす要素としての影響は大きくありません。
ハリをもたらしているのは、表皮の奥にある3つの層
「真皮」「皮下組織」「表情筋」の3つです。
それぞれがお肌のハリを保つ上で大切な役割をしていますが、
中でも真皮は、表皮の土台となってしっかり支えているのです。
だから、真皮が元気でイキイキとした状態は、お肌のハリのある状態です。
真皮の中で、ハリに直接影響を与える大きな要素は、
線維芽細胞と間質成分、そして栄養を届ける毛細血管です。
線維芽細胞は、間質成分であるコラーゲン、エラスチン、
ヒアルロン酸、プロテオグリカンを作り出す細胞です。
コラーゲンは、真皮の70%を占めるお肌のハリに最も影響を与える
「膠原線維(こうげんせんい)」と呼ばれるたんぱく質です。
3重のらせん構造で真皮の中を網目状に巡らされている
伸縮性が少ない強靭な線維です。
お肌のハリにはある程度のお肌の強さが必要ですが、
それをもたらしているのがコラーゲンです。
一方、エラスチンは真皮の2~3%しかありませんが、
コラーゲンより柔らかい弾力のあるたんぱく質です。
エラスチンは、その性質から「弾性線維」と呼ばれます。
エラスチンは、コラーゲンをしっかりつなぎとめるはたらきもあります。
ヒアルロン酸やプロテオグリカンは、糖やタンパクを含むゲル状の無定型物質で、
細胞外マトリクスとも呼ばれています。
この2つは、水分を保持することで柔らかな潤いのあるお肌を保つとともに、
コラーゲンやエラスチンと結びついて線維組織を安定させているのです。
若々しくて健やかなお肌では、真皮の中で絶妙なハーモニーがはたらき、
お肌に弾力・ハリをもたらしているのです。
そんな真皮に栄養を送り届けるはたらきを果たしているのが血管です。
血管が健康で、しっかりと栄養素が真皮に届けば、
線維芽細胞をはじめ真皮の組織も元気になって、ハリのあるお肌がキープできます。
このようにハリのあるお肌は、真皮で細胞と間質、
そして血管などが健やかな状態でコラボレーションすることでもたらされているのです。
そして、この真皮をさらの身体の奥から支えているのが皮下組織と表情筋です。
皮下組織は、殆どが皮下脂肪で外部からの刺激や衝撃をやわらげ、
身体の内部を守るクッションの役割を果たしています。
また、熱を伝えにくいので、断熱・保温のはたらきもあります。
表情筋は、その名の通り顔の表情を生み出す筋肉で、皮膚に直接つながっています。
だから、表情筋が直接、顔表面のお肌を動かすことができるのです。
表情筋は、30種類以上もあって、相互に関係しあうことで豊かな表情を生み出すことができます。
皮下組織と表情筋が若々しい状態であれば、
皮膚の土台である真皮をしっかり支えることができるので、
ハリのあるお肌をキープできるのです。
人の身体やお肌は、全てつながっています。
また、一緒に老化してしまいます。
だから、肌のハリの低下が起こるのは、たった1つの原因というより、
真皮、皮下組織、表情筋がいずれも老化した場合に多いのです。